田淵行男写真集「山の意匠」の作品解説を読んでいると、「わが国の高山に産する草花の中にウスユキソウと名のつくものに三つのタイプがある。このタカネウスユキソウとミネウスユキソウ、それにヒメウスユキソウで、最後のものが本場のエーデルワイスに最も近い種類になっているが北アにはこれだけは見られない(中略)。ミネウスユキソウは茎の最上部の葉があたかも花弁のように白い綿毛をこうむり、頭上花を囲んで美しい。花弁状の葉の形には地域による著しい変化が見られる」という記述にぶつかった。そういえば谷川岳の西黒尾根を登った折に、ホソバヒメウスユキソウを撮ったなと思い出す。これは谷川岳と至仏山だけに見られる種類だという。さらに過去の撮影データをチェックしていると、北岳山頂付近で撮ったものの中にミネウスユキソウがあるのを発見した。当時(2013年)何気なく撮ってそのままにしておいたらしい。山行の思い出に浸ったまま、時間が流れてゆく。