教育テレビでターナーの特集をやっているのを見て、突き動かされるような衝動に駆られた。東京都美術館は初めて(美術館に行くなんて何年ぶりなんだろう)。風景画家としてあまりに有名であり、英国最高の巨匠といわれるターナー。ロンドンのテート美術館所蔵の油彩、水彩、スケッチなど名品の数々が企画展示室のB1から2Fフロアにわたって展示されていた。それは圧巻であって、離れて眺め、細部を検討、さらに解説を読む作業を繰り返す。集中度を高めるのにもエネルギーを消耗、後半は疲れてしまったほど。荒々しい波の表現が心を打った。海戦・水葬・嵐といずれの絵も素晴らしい。ターナーの道具箱も展示してあった。当時、顔料は豚の膀胱を容器にしたものが使われていた。たった一つ、発明されたばかりの絵の具チューブが収められていた。おそろしく高価であったに違いない。テレビで紹介していた蒸気機関車の絵は展示がなかった。これは残念だった。線路の先の方を走っている兎の姿が見たかったのだが。