蹲踞(つくばい)

 三島由紀夫の小説、豊饒の海(四)『天人五衰』を読んでいると、「蹲踞」という語句に遭遇。蹲踞といえば、ふつうは剣道で立ち会う前に腰を落とす動作(そんきょ)を指すと思うが、この場合は「つくばい」とルビがふってある。コトバンクによれば「茶室の露地に低く置かれた石製の手水鉢。茶客が入席する前にここで手を清めるが、そのとき体を低くしてつくばうのでこの名が生まれた。」とのこと。これは新知識だった。
ちなみに小説では

「蹲踞のそばの百日紅が伐られてから、これという花の木もなくて、涸山水というほどでもない石組みのあいだから雑草が茂り、これを囲む雑草の葉漏れの光点も、のこらず黒眼鏡の裡に映じている」

という表現になる。そういえば去年行った湯河原美術館の庭園に、まさしく蹲踞があったなと思い出した。紅葉がきれいで写真を何枚か撮ったので、画像があったはずだ。HDDを探すと果たして出てきた。

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